2013年03月02日

傷だらけの子供たち【第二話 警察と現実への入口】

「リサんちの電話番号?なんで」


深呼吸して、覚悟を決めて私は次女に告げた。


「あのね、財布の中のお金がすっかり抜き取られてるの。リサが来る前まではあったから、知らないか聞いてみようと思って」


「ママ、リサのこと疑ってるの?リサは友だちなんだよ!?」


「色んな可能性があるからね、ひとつひとつ確かめるんだよ」



次女は、涙ぐみながら怒り、私をなじった。
ひどい、最低だと。


リサの自宅の電話番号を聞き出し、かけてみた。


本人が出た。


「私、○○(次女)の母です。こんばんは、リサちゃん、お母さんいますか?」


リサ「はぁ・・・・?いませんけどぉ・・」


背後でテレビと複数の人間の話し声と笑い声がする。
明らかに彼女は嘘をついている。


「お母さんはまだお仕事?仕事場の電話番号わかる?」


リサ「私知らないんです~あの~何の用ですかぁ~??」


リサのお母さんが経営する店が同じ町内にあることを、私も次女も知っている。リサは嘘を言っている。これは完全に「クロ」だな、と確信。


らちがあかないので、私は一度電話を切り、警察に電話をした。
5分ほどで制服を着た警官二人が自宅に来て、事情をこと細かく説明し、外部からの侵入跡がないかどうかを調べてもらった。


警官A「猫・・・・いますか・・???」


「え・・?あ、はい。今ちょっと隠れてますけど飼ってます(笑)」


警官A「猫ちゃんの足跡以外見つからないですね~。その子で間違いないですよ。もうこれは状況から見ても間違いない。手癖の悪い子ってのは、一度味をしめると何度も何度も繰り返すんです」


・・・・・・・やっぱりなぁ・・・どう考えてもそうだよなぁ・・・


警官A・B「その子の家に直接行ってみますか?」


「もし証拠が出たら、親に賠償請求することはできるんですよね?」


私は正直言って、お金さえ戻ってこればよいとこのときは思っていたので聞いてみた。


警官「もちろんです。同行しますよ」


ということで、リサの自宅に向かうことになった。


リサの自宅は、少し離れたところにあった。
次女は、一度だけリサのマンションまで行ったことがあるが、上がったことがないのでマンションの何号室なのか知らないのだった。
またリサの自宅に電話をしなくてはならなくなった。


「リサちゃんの家は何階の何号室?おばさん下にいるんだけど」


この期に及んでもまだリサは、自宅の住所も何号室なのかも、わからない、と言い張るのだった。
電波状況が悪く一度電話が切れたので、次女の携帯で掛けなおす。
すると、次はリサの母親が出たようだ。


「なんなの!あんたはさっきから何度も何度も!」


ヒステリックな声が耳に突き刺さった。
想像通りの母ちゃんだな・・と思った。


「実はですね、今日リサちゃんがうちに遊びに来ててお金がなくなったんです。それが今日で3回目で。警察に調べてもらった結果、外部からの侵入痕は見当たらないということですので、ひとつひとつ可能性を探るために今日ウチに来た人みんなの話を聞かせていただいてるんですね。これからお邪魔しても良いでしょうか?」




するとリサの母親は、激昂して甲高い声で叫んだ。


「はぁ?うちの子今日はお宅の子と遊んでないって言ってるんだけど?だいたいお宅の子が塾をさぼって遊ぼう!ってそそのかした前科があるから、お宅の子と遊ぶのを禁止してたのよ。うちの子はあたしのいうことには逆らわないんだから、何かの間違いじゃないの?」




・・・・・・・。だめだこの母親は・・・。
人の話を聞かない。聞く力もない・・・。
リサは、以前にもたびたび塾をさぼって遊んでいた言い訳に、次女にそそのかされたのだと言っていたらしい。次女に確かめると、意外な答えが返ってきた。


「リサが塾に通ってることも知らなかったよ、知ってたら誘わなかったし」


とにかくリサの自宅が何号室なのかを聞いて、私と次女、警官二人の4人でエレベーターで上がっていった。


だいたいのことは、めんどくさいので適当に流してしまう私だが、立ち向かうと決めたときは、何があろうと一歩も引くつもりはない。


警官二人と次女には、階段のほうで見ていてもらうことにした。
私は深呼吸をして、インターホンを押した。


続く・・・・・

傷だらけの子供たち【第二話 警察と現実への入口】


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